これまでの研究成果(2016-2018)

目次

研究項目A01<計画研究>

吸着歩行を可能にするクジラ用ローバーの試作機を開発

Tsuchiya, K. et al. (2018) Whale rover for bio-logging, IEEE Int. Conf. on AIM (to be presented). クジラ体表を吸着歩行し、カメラロガーを口元近傍に運ぶために開発したクジラ用ローバーの第4試作機が水流を駆動源として平板上を吸着歩行できることを示した。

 

距離画像のみを用いた高速位置姿勢推定手法を開発

Li, M. & Hashimoto, K. (2017) Accurate object pose estimation using depth only. Sensors18.複雑な背景から対象となる物体を正確に抽出することを目的として、3次元センサから得られる距離情報のみに基づいて対象の位置と姿勢を精度よく高速に推定する手法を開発した。

 

 

変形する対象物のモデルレス運動推定手法を開発

Chen, M. & Hashimoto, K.(2017) Vision system for coarsely estimating motion parameters for unknown fast moving objects in space. Sensors17.変形する対象の位置と姿勢を推定するために、対象形状のモデルを用いずに対象の運動を推定する手法を開発した。この手法はステレオカメラによりコウモリや鳥などの3次元位置計測に応用できる。

線虫の神経活動と光制御を同時に実現するロボット顕微鏡を開発

Gengyo-Ando, K. et al. (2017) A new platform for long-term tracking and recording of neural activity and simultaneous optogenetic control in freely behaving Caenorhabditis elegans. J. of Neuroscience Methods286, 56-68. 運動する線虫の神経活動と光刺激制御を同時に行いながら長時間の計測を可能とするロボット顕微鏡を開発した。

大量の軌跡データから行動の意味を抽出するニューラルネットワークを開発(B01との共同研究)

Ardakani, I. S. & Hashimoto, K.(2017) Encoding bird’s trajectory using recurrent neural networks. Proc. of the IEEE ICMA2017, 1644-1649.大量の軌跡データから行動の意味を抽出するためのニューラルネットワークを開発した。海鳥データに適用して、精度のよい軌跡推定が可能となることを実証した。

公募研究  クモの位置・姿勢推定手法を開発

Iwatani, Y. et al. (2017) Feature-based orientation estimation for wandering spiders from top-view image sequences. Proc. of the IEEE ICMA2017,364-369. 無限平面装置に関わる画像トラッキング手法として、クモの位置・姿勢推定手法を開発した。クモは高速に移動するため画像のぼけが発生するが、開発した位置・姿勢手法はぼけの影響に対してロバストである。

 研究項目A02<計画研究>

系列パターンを発見するためのSelective Inference手法を開発

Suzumura, S. et al. (2017) Selective inference for sparse high-order interaction models. Proceedings of International Conference on Machine Learning 2017 (ICML2017). ナビゲーションデータからの知識発見においては、大量の観測データから回帰や分類に有用な組み合わせ要因や系列パターンを抽出することが求められる。本論文では、抽出された組み合わせ要因や系列パターンの統計的有意性を適切に定量化するためのSelective Inferenceと呼ばれるアプローチを開発した。従来は多重検定と呼ばれる過度に保守的な方法しか存在していなかったが、提案法を用いることで、統計的信頼性の担保された組み合わせ要因や系列パターンを見つけることができるようになった。

イベント駆動型ロガーを開発(A01、B01との共同研究)

Korpela, J. et al. (2017) Preliminary analysis of realtime classification of feeding activity for the streaked shearwater. 18回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会.センサデータロガー上の加速度センサやGPSなどの低消費電力なセンサを用いて、生態学者が興味のある動物の行動を機械学習により認識し、消費電力の大きいカメラをその行動が認識されたときのみ起動する手法を提案した。キバナウ(鵜の一種)やウミネコでその有効性を確認した。(優秀講演賞受賞

深層学習よりも精度の高い人物行動認識の手法を開発

Matsui, K. et al. (2017) Trajectory-set feature for action recognition, IEICE Transactions on Information and SystemsE100.D, 8, 1922-1924. 映像中の特徴点の軌跡分布に着目したtrajectory set特徴量を提案し、動作認識へ適用した。人物動作を収集した評価用データセットであるUCF101とHMDB51に対して実験を行い、HMDB51の認識率(85.4%)は深層学習手法の性能(80.2%)を上回ることが示された。

 公募研究  群集における歩行者移動モデルを構築

大西ら(未発表)群衆の一人ひとりの移動軌跡を計測し、深層学習を用いてモデル化することで未知環境での人の移動を再現できることを確認した。さらには移動中に目的地を選択できるような人の移動モデルを提案し、大規模な避難訓練の計測実験で見られた避難中の目的地変更が起きた場合の移動軌跡が再現できることを確認した。

映像中の様々な小動物を安定的に検出する手法を開発

佐藤僚太,波部斉,阿部孝司,井口信和. (2017) CNNを用いた画像解析による大規模魚群の個体検出手法,SI2017.映像中から稚魚などの小動物を検出する手法を提案した。クロマグロ稚魚を撮影した映像に適用したところ、明るい照明条件では82.0%、暗い条件でも79.2%の精度で個体検出が可能であることを確認した。

 研究項目B01<計画研究>

コウモリが互いの超音波周波数を変え混信を回避することを発見

Hase, K. et al. (2018) Bats enhance their call identities to solve the cocktail party problem. Communications Biology1:39. 集団で飛行する際、お互いのコウモリが超音波の周波数を調整し合うことで混信を回避していることを発見した。これよりコウモリが、集団移動中のナビゲーションモデルや、多数の自律センシングロボットの群制御などの技術シーズの着想につながることが期待される。新聞各社による発表のほか、Nature関連誌によるハイライト記事としても紹介された。

逆問題アプローチを用いた動物の認知を推定する手法を開発

Goto, Y.et al. (2017) Asymmetry hidden in birds’ tracks reveals wind, heading, and orientation ability over the ocean. Science Advances3, e1700097.システム同定(入出力情報から内部システムを推定)の考え方に基づき、GPS経路から動物が受ける風向・風速と、動物の向き(動物の認知に相当)を同時推定する統計手法を開発した。海鳥が目的地からあえてズレた方角を向くことで風に流される効果を相殺し、直線的に目的地に向かえることが明らかになった。

ミズナギドリ目の幼鳥が山脈を越えることを初めて発見

Yoda, K. et al. (2017) Compass orientation drives naïve pelagic seabirds to cross mountain ranges. Current Biology27, R1152-1153. 海上以外は飛翔しないと考えられていた海鳥種の幼鳥が山脈を越えることを初めて発見し、成鳥とのルート比較から長距離ナビゲーションのルート獲得過程を明らかにした。

 公募研究  捕食者の大規模移動を利用して、クラゲの生態を解明(B01との共同研究)

Thiebot, J.-B. et al. (2017) Jellyfish and other gelata as food to four penguin species – insights from predator-borne videos. Frontiers in Ecology and the Environment15, 437-441. 世界各地に生息するペンギンにビデオを装着し、クラゲを多く捕食していることを明らかにした。海洋を広く移動する高次捕食者を用いて謎に包まれたクラゲの分布や生態を調べることができることを示した。

 研究項目B02<計画研究>

線虫匂いナビの「匂い刺激」と「意思決定」の関連を微分・積分で数理モデル化し、遺伝子実体も解明(A01との共同研究)

Tanimoto, Y. et al. (2017)Calcium dynamics regulating the timing of decision-making in C. elegans. eLife6, 13819.線虫は匂い濃度の微分と積分によって、高等動物と同様に「意思決定」すること、またこれに関する遺伝子を明らかにした。ロボット技術による正確な測定、数理モデル、遺伝子同定が高度に結びついた、本領域を代表する重要な成果である。(F1000Prime推薦論文

コオロギの逃避ナビゲーションが聴覚状況によって変化することを発見

Fukutomi, M. & Ogawa, H. (2017)Crickets alter wind-elicited escape strategies depending on acoustic context. Scientific Reports7, 15158.コオロギの気流誘導性逃避行動において、捕食者であるコウモリの探針音波と同様の高周波音を気流刺激に先行して提示すると、逃げる距離が長くなり、横からの刺激に対しては移動方向が後方へ偏ることを見いだした。

環境介入するための再構成可能な迷路を開発

「小動物実験用迷路組立キット」,発明者:高橋晋,出願人:学校法人同志社大学(特願2017-252076)登録日:平成29(2017)年12月27日.環境介入装置として、迷路を構成する通路、センサ、可動壁、給餌器、トレッドミルなどの構成要素を自在に再構成可能な迷路を開発し、その特許を出願した。同一環境下で様々な迷路形状を構成できるため、環境介入によるナビゲーション移動モデルの検証が可能になった。

ナビゲーション軌跡を「状態」に分類し、その特徴を抽出する統一的な手法を確立(A02、B01との共同研究)

▲Yamazaki, S. J. et al. (2017)Experience-dependent modulation of behavioral features in sensory navigation of nematodes and bats revealed by machine learning. bioRxiv198879.機械学習手法を用いて、コウモリや線虫ナビゲーションの行動状態から特徴を抽出する手法を確立した。本手法により、効率的に統一された手法で様々な動物のナビゲーションを解析することが可能になった。

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