開催報告

2019 第66回日本生態学会大会シンポジウムでの開催報告

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第66回日本生態学会大会シンポジウム「生物移動に対する新たな挑戦(生物移動情報学)」

夕方になるとどこからともなく現れるコウモリ、毎年春になると訪れて繁殖する渡り鳥。昔から人々は動物が織りなす大移動の末端をみて、いったいどこへ行くのかと想像をめぐらしてきた。餌や配偶者を探索する、渡りや回遊を行う、敵から逃避するなど、移動の意義は様々であり、また、動物によって移動スケールも大きく異なることから、移動に関するトピックはそれぞれの研究分野や分類群に分散し、採餌・繁殖・対捕食者などの多様な項目で扱われてきた。

近年、動物装着型GPSやトラッキングカメラなどの技術によって個体の移動経路を記録する手法が飛躍的に発展した。さらに、その時系列ビッグデータを解析する情報科学的手法が登場し、抽象化された移動経路を統一的に解析できるようになってきた。また、神経科学分野では移動のメカニズムまで踏み込み、移動経路が生み出される機序を明らかにしたり、神経科学的手法を生態学の対象に適用したりする動きも始まっている。

本シンポジウムでは、移動という現象に集まった生態学者、情報学者、神経科学者による異分野間での先端的な共同研究を紹介する。脳内に地図をもつ哺乳類、地球規模で移動する鳥類、人工知能による横断的な移動解析などの話題を通して、生物ナビゲーション研究の発展を占うとともに、生態学・神経科学・情報学の交流による新しい可能性を議論したい。
(主催:新学術領域研究「生物ナビゲーションのシステム科学」)

講演者

  • バイオロギングによる鳥類ナビゲーション研究 依田憲(名古屋大学)
  • コウモリの音響ナビゲーション 飛龍志津子(同志社大学)
  • 空間ナビゲーションに関する海馬の場所細胞研究とその未来 髙橋晋(同志社大学)
  • コオロギ音源定位ナビゲーションにおける行動要素抽出と環境操作 小川宏人(北海道大学)
  • 深層学習を用いた異種動物横断型移動行動分析の可能性 前川卓也(大阪大学)